その他、再生医療製品分野の標準化に関係する組織(2014年)

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ASTMi (American Society for Testing and Materials International(ASTMiのページへ)

設立:
 1898年にペンシルバニア鉄道の化学者及び技術者により設立された(2001年にASTM規格が国際化したことを反映し、名称の最後にInternationalがついた。しかしながら、投票の形式がISOとは異なることもあり(後述)、米国の国内規格として認識された上で使用されているケースが多い。)

概要:
 ASTMiは個人としての参加(会員)が原則であるため、結果として世界最大の国際標準化機関となっている。作成している規格は、工業規格や試験法規格であり、ISO 9001のようなマネジメント規格は作成していない。規格作成時には、ISOと異なり会員一人一人に投票権があるため(ISOは一ヶ国から一代表(日本であればJISC)の参加のため、一ヶ国につき一票の投票権)、その成立は早くなるが、関係諸国の意見が反映され難く、且つ特定企業の意見が反映され易いため、純粋な国際規格としては未だに認められていない。しかしながら、作成された規格の中には有用なものも多いため、様々な分野で引用・使用されている。
 多くの委員会が存在するが(143)、F04委員会で医療機器分野の規格が作成されており、この中で再生医療製品に関連した規格作成が行われている。現在、32の再生医療関連規格が発行されており、ISOよりもその活動は先行している。現在、ISO/TC 150/SC 7はASTMiとの連携を模索中ではあるが、ASTMiはその活動に必要な収入の一部を規格販売により得ていることから、ISOへの引用や類似の国際規格作成に関しては難色を示しているのが現状である。

BSI (British Standards Institution)(BSI日本支社のページへ)

概要:
 BSIは、1901年に英国の工学標準化委員会として設立された英国規格作成機関である。ASTMiのようにInternationalを名称に冠していないので、英国規格を国際的に展開しようとはせず、むしろ世界各国に支店を設立し第三者認証機関や試験機関としての立場から活動範囲を広げている。欧州では、欧州統合に伴い、欧州内での企業活動、物流等をスムーズにするため、自国規格よりヨーロッパ標準化委員会(Comité Européen de Normalisation:CEN)が作成した規格(European Standard:EN)の利用に軸足を移している。また、ISOにおける標準化を利用して、ISO = CENという状況を作り出すことで、ヨーロッパ規格を世界標準としようとする戦略が取られていると考えられる。
 再生医療分野に関してはPAS 84という再生医療分野に関する用語集をBSIが作成しており、これを無償で公開している。これは、PAS 84が欧州内で使用されることにより実質的な欧州規格となることを目的とした戦略だと考えられるが、用語の統一を図り再生医療等製品の開発・実用化を促進するという面では欧州に留まらず世界中にとって有意義なものとなりうる。現在、ISO/TC 150/SC 7では、ASTMiで発行されている用語集とこのPAS 84とをベースにした用語集作成に着手している。

IABS (International Alliance for Biological Standardization)(IABSのページへ)

概要:
 1959年に“International Association for Biological Standardization”として設立され、その後“International Association for Biologics”と名称を変更。2012年に正式に現在の名称となる。基本的な対象はその名の通り“Biologics”であったが、近年の再生医療発展に伴い、その対象をCell Therapyによる再生医療の安全性に係る標準化へと軸足を移しつつある。2014年3月に開催されたWorkshopのタイトルが“Challenges toward sound scientific regulation of cell therapy products”であったことからも、再生医療においては細胞に主眼をおいていることが分かる。また、主要な構成メンバーには各国規制当局のOBが多いことから、規制との連携を念頭においた細胞に関する標準化(安全性、バンクシステム、腫瘍原性評価、ドナー選択等)を目指していることが分かる。個人的な感想になるが、上記Workshopに参加したところ、IABSの興味は「細胞」に特化しており、再生医療に必要な周辺技術やScaffoldに関してはあまり興味がないようであった。
 なお、本年2月18、19日に東京で第2回Workshopが開催される。

Last update 2015.01.21
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