< 眼内レンズ インプラント・データシステム委員会 >
インプラント・データシステム委員会議事録からの抜粋
- 「眼内レンズインプラントデータシステム委員会」は、日本眼内レンズ屈折手術学会内の常設委員会(委員長:山中委員)として活動している。現在、摘出された眼内レンズの免疫染色等による組織分析、グリスニングの原因追及を含めた物理化学的分析、眼内でのレンズの変形分析、小児埋植症例の調査、現在禁忌とされている症例の見直し検討、などを行っている。一番重要なのは摘出レンズの回収であり、昨年1年間で108例のレンズを回収できた。現状では、7割以上がfoldableレンズ使用となっているが、これらの耐久性等はまだ未知の部分もある。その意味でもfoldableレンズを回収したいと考えている。その数は徐々に増えつつあり、PMMAレンズと対比しながら適合性を検討してゆく。摘出原因は偏倚・脱臼、パワー変更、硝子体手術が多く、感染・眼内炎によるものもある。HEMAレンズによる混濁例もあった。今後は、上記の分析以外にも、塙委員と協力して表面分析も進めてゆきたい。 (H14.12.24)
- 「眼内レンズインプラントデータシステム委員会報告」を学会誌に掲載し、活動を広く知らせている。禁忌例でも眼内レンズが使用される例があるが、実際には禁忌から外すのが好ましい症例もあり、文献・実態調査を行って検討してゆきたい。摘出レンズの分析は、PMMA以外の新規材料が多用(7割がfoldableレンズ)されている折から、長期成績を確認するためにも必要となる。機械的性質では、foldableレンズにPMMA製の支持部が増えていることもあり、強度的な検討を加える。物理化学的特性についても表面観察を含めて検討する。小児例については個別例について手術データを集積して安全な手術の検討を行う。摘出レンズ自体の取り扱いで取り決めが必要な事例が出てきているため、広報を通じて当委員会の活動を周知する努力を続けたい。 (H14.7.30)
- 当委員会は何らかの理由で摘出されたレンズを回収して、レンズ表面の細胞の性質等を検索するのを一つの柱としている。2001年も100例程度を収集した。欧米においても当委員会の仕事が評価されてきている。情報提供が途切れると収集数が落ちてしまうため、6年間のまとめとして学会誌に報告書を掲載して会員に配布する作業を進めている。また、小児埋植例の調査を行っている。なお、レンズ提供施設からのサンプルの返却や分析データの要求等の問題が起こっており、データの二重投稿の問題を含めて検討しておく必要がある。 (H14.3.22)
- IOLの摘出理由は、IOLの偏倚・脱臼が多く、度数の交換例が増えている。術後の目の視力矯正の意味が大きくなっている現れであろう。手術技術が上がったため、度数が合わなければ入れ直す傾向が出ている。角膜内皮傷害が減っているが、IOLの改善による。眼内炎が増加しているが日帰り手術とは相関していない。摘出IOLの材質の年次推移では、使用材質は8割が軟性レンズになっている。摘出IOLもPMMAが減少傾向で、軟性レンズが増えている。PMMAでは材質の劣化はないが、軟性レンズではグリスニングや表面への組織付着などが観察されている。軟性レンズの回収を積極的に進めたい。 (H13.12.3)
- 眼内レンズ・インプラント・データシステムについては、埋め込み数に比して、摘出レンズの分析数は少ないが、年間百枚以上は当システムに送付されている。主として組織反応、機械的変形についての検討をしている。新しい素材も増えており、材料と生体反応との関連データも出て来つつある。変形に関してはワンピース型とスリーピース型で差があったが、使用期間と変形との間に相関は見られなかった。さらに、日本眼内レンズ屈折手術学会で、米国の摘出レンズ分析代表者を招いたシンポジウムを開催した。今後は、新タイプ(折り曲げ型)のレンズ、小児適用例についても検討を加える。 (H13.8.24)