平成29年度 第1回TC 194国内委員会議事録

日時:平成29年4月19日(水)15:00 -17:10
場所:ホテル機山館地下1F会議室(文京区本郷4-37-20)
出席者(敬称略、着席順):
蓜島(委員長)、千秋、吉原、畑中、谷川、岩崎、石川、松見、柴田、岸田(副委員長)、中岡(事務局長)、坂口(副委員長)、藤井、澤田、橋本、山影、黒澤、金澤、加藤、矢野、宮島、森(幹事)、高島
オブザーバー:
平井(テルモ)、伊藤(MT JAPAN)

議事

1.開催挨拶

  委員長の挨拶後、本日の議案についての説明・確認が行われた。

2.委員交代等について

  委員長より、今年度からの新委員としてPMDAの鈴木由香氏、本日オブザーバー参加しているテルモの平井俊行氏を迎えたい意向が示され、了承された。なお、鈴木氏にはアドバイザー的な立場でしばらく作業に参加いただくこと、平井委員にはWG11の主査及びWG 14の副査を務めていただくことが、併せて了承された。また、空席となっていたWG13の主査・副査をそれぞれ柴田氏、宮島氏に依頼することが提案され、了承された。

3.投票案件に関する報告及び討議(括弧内は投票〆切日)

  1. CD 14155(4/28)
       WG 4主査の矢野委員より以下の説明がなされた。     
  2. CD 10993-9及びCD 10993-15(4/28)
       WG 2主査の吉原委員より配布資料を用いて説明が為された。     
    (討議・確認)
      変更された“absorb”の定義に問題はないか?→TC 194内で分解性の英語表現が変わってきているのでその影響で変更された可能性が高く、現時点では問題があるとは思えない。他の文書との整合性も含め、再度副査らとチェックをしてコメントを作成したい。

  3. SR ISO 13022:2012(6/5)

     事務局長より、再生医療とも関連する細胞のリスクマネジメント文書である当該文書の定期見直し投票が開始されていること、現時点ではその文書が規制に影響することはないことから「Confirm」としたいが、一度SC 1担当者とTC 276関係者にその確認・検討をお願いしたいという説明が為された。これを受けて、PMDA関係部署とも相談したほうが良いということになり、その調整を事務局長及び関連委員が行うことになった。

4. 国内ガイダンス改訂準備特別作業班報告及び関連投票案件討議(括弧内は投票〆切日)

  1. 国内ガイダンス改訂準備特別作業班報告
     資料を基に蓜島委員長が概要を紹介した。改訂が必要と思われる部分の概要については担当者から説明が行われた。

    1. 刺激性、感作性(加藤委員)
       Round robin testが実施されたヒト三次元皮膚モデルを用いた試験結果が良好だったため、代替試験法候補としてISOに入れ込むことに。これに伴い、Part 10は刺激性と感作性とを分けて作成する方向で話が進められている。
      (質疑・確認)
      • 特別作業班としては、この方法も試験法の一つとしてガイダンスに入れ込みたい。→動物試験は削除するのか?→あくまでも、選択肢の一つとして入れ込み、動物試験は残す。

    2. 血液適合性(谷川委員)
       ISO改訂のために行ったRound robin testで、抽出液を用いた試験よりも直接法の感度が良かったこと、国内法の感度が悪かったことを考慮して、直接法を中心にASTMの方法を入れ込みたい。血栓評価については、Round robin testが行われているのでその結果を待ちたい(日本は不参加)。
       陽性対照材料として日本が開発した材料は、Round robin testでその品質が担保されたことから、これを参考情報として入れ込みたい。
      (質疑・確認)
      • ISO 10993では機械的刺激による溶血というカテゴリーが入った。国内審査ではどのようになるのか?→PMDAの担当者に確認する。
      • 直接法を入れ込むのであれば、その扱いはどうするのか?→抽出液による試験、直接法で結果が異なるケースもあるので、両方行うことを推奨したいと考えている。→結果が確実に出る方法であれば良く、両方行う必要はないのでは?→世界的には両方要求されるので、整合を取りたい。

    3. 基本的考え方(坂口副委員長及び中岡事務局長)
       国内委員会前に行われたWG 1特別作業班会議の内容も含め、DIS 10993-1の問題点が説明された。
       まず、事務局長より、Figure 1のフローチャートの問題点として、最初に挙げられている「化学及び物理特性に関する情報を集める」とされている部分で引用されているPart 18が今回大幅に改訂されていることから、この精査が必要であることが説明された。委員長とでPart 18の大まかなチェックを行った結果、問題となる点が紹介された。
      • Part 18の大前提として「化学分析により全ての化学物質同定が可能」となっていることが最も大きな問題。
      • その結果、ロジックには問題はなくても、このままだと多大な化学分析が要求されかねないフローチャートが示されている。
      • 解決する手段として、従来通り、全ての化学物質同定をしなくても生物学的安全性試験による評価を行う道筋を追加するようコメントする。
      • Part 1との整合性が取れていない部分があることから、整合性を取るようコメントする。例えば、
        1. 材料の「同等性」と「生物学的安全性」を判断する上で必要な化学特性情報収集手法を同じフローに入れ込んでおり分かりにくくなっている。本来、両者は独立して検討すべきものであると思われるし、Part 1のFigure 1でもそのように整理して引用すべきだと思われるので、各々を独立させた形の文書とし、Part 1では各々の項を引用するようコメントする。
        2. Part 1のFigure 1で患者らと非接触の機器は対象外となっているが、ここのフローチャートではそうなっていない。整合性を取るようコメントする。
      • Annex Cに紹介されている代替溶媒の妥当性が疑わしいので、その点をコメントする。

       次に、2009年版とのギャップ分析により判明した重要な変更点と作業班での討議内容が副委員長より説明された。
      • Introduction後部に動物試験を削減するために物理学的、形状的特性を試験すべきということが明記された
      • Scopeに患者以外に医療従事者を保護する目的が追加→チャートを修正すべき
      • 機械的故障や長期使用によっても生物学的安全性を考慮すべきという点が新しく追加→部材によっては非接触なので評価を求めなかった部材も評価対象となりうるので、要求がシビアになる(例えば、バルーンの中に入っている部材)。故障や劣化の程度を勘案した上で評価を求めるべきであり、今の書きぶりのように機械的安全性で充足されうる点の評価を要求する点は修正を求めるべき。#例えばNoteに変更するなど。
      • 定義が大幅に追加されているが、一部の定義が不適切。→修正コメントを出す。
      • 4.3にPackageの評価が追加→現在は、溶液中に保管されている機器以外では評価を求めていないが、考慮すべきという記載を追加する分には問題ないと思われる→Packageの化学特性評価が求められることにならないか?→最終製品で評価している場合は、この点も勘案していることになると思うので、現状では問題ないと思う。液体中保存のみを考慮した記述なのか確認するためのコメントは出す(必ず実施するような書きぶりは避けるように要求)。
      • 4.7にリサイクル医療機器に関する記述が追加されているように読める。→「re-usable」と書かれているのでメスやハサミなどを対象にしているかもしれない。確認したほうが良い。
      • 4.10が追加(ガイダンス改訂ごとに評価を求めないことを明記)
      • Figure 1が一部修正されている。→Part 18での議論を反映させたコメントを出す。また、何故「geometry」のダイヤモンドが復活したのかを問うべき。→「geometry」の定義が必要。→性能試験で形状が安全性に与える影響を評価しているので、生物学的安全性の要求事項に追加するのはおかしい。削除コメントを出すべき。
      • 5.2.2に「瞬間的に接触する機器」の項目が追加。→星取表とは別の取り扱いか?→その通り。→該当機器に関して評価要求が減るのであれば妥当だと思われる。→評価が一切必要ないとも読めるので、「リスク評価が必要」との補足を要求すべき。
      • 急性毒性を埋植試験で代替できると注釈があるが、急性毒性評価は単回投与での評価になるので適切でないと思われる→注釈の削除を要求する
      • 亜急性、亜慢性、慢性を分けて記載したので、不慣れな機関は各々を独立して評価しなければならないと誤解する可能性がある。→注釈を強化する形の補足追加を要求する。
      • 認証機関への影響は?→PMDAでも指導するが、星取表を盲目的に適用する危険性はあるので注意が必要。評価項目の妥当性はメーカー側が示すので、認証機関がこの重要性をどの程度理解しているかは分からない。→認証基準では通知ではなくJISを引用している。JISはISOの和訳版なので、できる限り論理的なものとすべき。
      • 星取表、最後の2項目は、星取表から削除して、Annex内に別途記載すべき。→提案する。
       ここまで出たコメントは坂口副委員長が取りまとめてコメントシートを作成し、ギャップ分析に関する表は可能な限り委員会で共有し、PMDAがそれを精査した上で追加コメントを作成することとなったことが報告された。
      (質疑・確認)
      • JIS化の所掌は→MT JAPAN→そろそろ原案たたき台を作り始めた方がよいのでは?→スケジュール的には原則5年に一度の見直し。持ち帰って検討する。→Part 1発行後、早めに出た方が良いので、是非とも早めに検討を開始してほしい。
      • 他にコメントがある委員はMLに投稿してほしい。内容を考慮して、適宜、副委員長が取り込むこととする。

  2. DIS 10993-1(5/14)
     上記の通り、副委員長が自身のコメントに加えて、PMDAや他の委員から出てくるコメントも取りまとめてコメント集を作成することとなった。原則、投票方針は「コメント付き賛成」とすることも確認された。
  3. CD 10993-18(5/12)
     上記の報告で出たコメントを事務局長が取りまとめて、投票前に一旦MLに投稿し、委員全員に確認してもらうこととなった。また、Part 19も重要となるが、該当部分をPart 18と統合することはできないか?とのコメントが出たが、それは既にAnnapolisで議論済みで不可能だと思われることが説明された。しかしながら、より良い文書とするためには、再度提案すべき事項だとの意見があったため、それもコメントに入れ込むこととなった。
    (注:この後、投票締め切りが延期され、6/9となった)

5. 投票案件報告

 これまでの投票結果と、討議事項以外の新規投票案件が事務局長より資料を用いて紹介された。なお、SC 1で改訂作業が開始されるISO 22442 -2のエキスパートに関しては、ISO 13022同様、PMDA内部で適任者がいないかを確認し、いない場合には引き続き黒澤委員に担当していただくことなった。

6. ISO会議参加システムの変更について

 事務局長より、ISO会議への参加登録方法が変更され、会議専用ホームページからWGエキスパートは各自参加登録する必要が生じたこと、総会への参加登録は新しく設立された担当者(Meeting Participant Approver: MPA)がまとめて行うこと、10月1日以降開催の会議から適用されること等が紹介された。なお、本国内委員会ではMPAは事務局長が担当することとなった。

7. その他

 平井委員より、配布資料を用いて抽出法改訂のためのWG 15 task force活動状況が報告された。Round robin test実施のためのprotocol作りが進んでいるが色々と問題があること、分析の専門家からなるチームを作り検討する予定だが全くメンバーが集まっていないことが報告された。また、事務局長よりその活動が当初の設立背景から異なった方向を向いており、活動方針も混乱しているようであることが補足報告された。

 黒澤委員からは、Part 2改訂にあたっての背景説明が行われた。  TC 194内でもPart 2の位置づけは重要であり、世界の動向と齟齬が生じないよう一刻も早くPart 2を改訂する必要があるので、その作業を開始していることも説明された。

 森幹事から、MT JAPAN主催で加入企業向けにTC 194活動報告会を今年度開催する予定であること、そこでは重要な案件をお話しいただくので、動物愛護も是非お話しいただきたいこと、出席者に関しては加入企業以外も参加できるように調整することが紹介された。

以上