平成30年度 第1回TC 194国内委員会議事録
日時:平成30年 5月24日(木)14:00 -16:25
場所:ホテル機山館 会議室
出席者(敬称略、着席順):
蓜島(委員長)、中岡(事務局長)、坂口(副委員長)、平井、伊藤、加藤、金澤、宮島、黒澤、名本、藤井、城倉、森、村上、橋本、米山、高島、吉原、畑中、谷川、勝田、山影、石川)
オブザーバー:
穴原(PMDA)、野村(国立衛研)、森下(国立衛研)、鈴木(東北大学)、伊藤(MT JAPAN)、近藤(MT JAPAN国際規格委員会委員長)、松永(CL協会)遠藤(PMDA)
議事
冒頭の委員長挨拶後、新任委員候補2名(穴原、野村)の紹介があり、満場一致でその就任が承認されるとともに、穴原氏には全体のカバーを、野村氏にはWG
12, 14エキスパートをお願いすることも承認された。リエゾンであるコンタクトレンズ協会からは、今年度より松見委員の後任として松永氏を委員としたい旨、連絡があったことが紹介され、満場一致で承認された。また、森下氏に関しては、本年4月1日付けで学術振興会ポスドクからAMEDリサーチレジデントに異動したが、引き続きオブザーバーとして受け入れることも承認された。
1.デルフト会議兼WG状況報告(報告詳細は、資料を確認のこと)
- WG 8(加藤委員:資料1)
質疑
- In vivoよりin vitroの方が感度が良いとのことだが、どの程度の差があるのか。In vitroの感度が良いのであれば、サイトカイン等の2次マーカーは必要ないと思われるが?→現時点では細胞の生死のみで判定する方法であり、in vivoのようなグレード付けができない欠点がある。それを補うために別マーカーが必要だと考えている。現時点では詳細なプロトコールが決まっていないが、グレード付けまで必要と考えるのであればin vitroとin vivoの両方が必要になる。→In vitroとin vivoの感度の違いと2次マーカーとしてサイトカインを測定することとは意義が異なる。前者については、衛研で行った検討以外、両者を比較検討した報告はない。Y-4はin vitro及びin vivoともに明瞭な陽性反応を示す。一方、Y-2及びY-3はin vivoでは刺激性を示さないが(スコア=0)、in vitroにおいてはIL-1αが若干誘導される。但し、細胞生存率を指標とした判定ではどちらも陰性である。
- IL-1αの測定が感度向上に貢献を示すデータがないという指摘の背景を教えて欲しい。→SkinEthic™を用いたグループでは、IL-1α測定結果のばらつきが大きかったようで、そのような意見が出された。加えて、測定にかかるコスト等も考慮して、IL-1α測定に賛同するメンバーが少なくなっていると考えられる。→国際RRSにおいて、heptanoic acidを添加したシリコン材料は偽陽性・偽陰性を示したが、サイトカインを測定することにより、正確な判定が可能となる。サイトカインの測定は感度向上ではなく、精度向上を期待できるので、2次マーカーに関する記述を追加するように議論を進めて欲しい。
- WG 11(平井委員:資料2)
質疑
- Non-carcinogenic TTCのターゲットになりうるものは何があるのか?→対象となるのはがん原性、全身毒性等であり、ICHと同じ範囲になると理解している。→TTC文書に関するフランスの意見には同意する。実運用については、可能な限り早急に日本から新規提案する。
- Part 17に対する批判的な意見を具体的に教えて欲しい。→リスク評価の流れが違うのではないかという点が大半であった。
- UFの議論はあったのか?→一般論としての説明はあったが、医療機器への適用に際して、具体的にどのような数値を用いるか等、詳細な議論は時間の関係で行われなかった。
- WG 12(金澤委員:資料3)
質疑
- Part 12において有機溶媒抽出を今後どのように取り扱うべきか、PMDAと事前に相談した。その結果、その記述は残して欲しいとの要望があったこと、他のPartへの移行は適切でないことから、日本としてはこれまで通りPart 12のAnnexとして残すべく主張する方針である。
- 日本が有機溶媒抽出を主張した背景として水系で抽出した場合の偽陰性があったと思うが、他の国はそれを問題視していないのか?→現在、日本が主張していたケースはレアケースだと思われているようである。それよりも有機溶媒抽出が生体内で生じる低分子溶出から乖離した条件であること、推奨されている4種類の有機溶媒の妥当性が理解できないことが問題視されていると思われる。→日本が主体となって行った研究が背景となっていることから、現時点ではそれを根拠に議論を進めていくしかないが、今後はハザード解析とリスク評価を明確に分けて、新たな分析プロトコールを日本から提案することを検討している。
- Y-3は溶血性試験用陽性対照として原案に入っているのか?→既に入っていた。このまま文書作りは進んでいくと思われる。→個別の文書に日本が作製した陽性対照を入れるよう提案することを考えていたが、その必要は無いという理解で良いか。→その理解で差し支えない。
- RRSの現状を教えて欲しい。→デルフトでWebEx会議を行ったが、参加6施設中2施設しかデータが揃っていないとのことであった。まだ着手していない施設もあることから、完了するまでは予定よりも時間がかかることが予想される。
- ZDBCやGenapolの同定は難しいはずだが、その点について何か情報があるか?→指摘通り、その同定はかなり難しく、Genapolは検出できなかった。ZDBCは検出できたが、施設によっては検出できなかったとの報告もあった。→GC/MSによりZDBCを定量するためには工夫を要する。GenapolはCo錯体とし、回収したCoをICP/MSで測定することにより定量可能である。
- WG 14(中岡事務局長:資料4)
質疑
- 豪代表の提案したEquivalenceに関する考え方の取り扱いはどうなるのか?→示した図をブラッシュアップして文書に入れ込むためにAd-hoc groupが結成された。できあがった内容はInformative AnnexとしてPart 18に追加される予定である。
- Chemical Informationの定義がPart 1と一致していないということであるが、具体的にはどういうことを指しているのか?→Part 1ではPhysical and chemical informationと2つのinformationを同時に定義しているため、内容的には追加の各種試験が必要か判断するための一般的な「情報」となっている。一方、Part 18では構造及び組成に関する定性的且つ定量的「情報」と定義されており、さらに具体的な分析フローチャートと紐付けされてしまっている。このことから、chemical informationに関して、情報収集のみでは不十分であり化学分析が必須であると理解される懸念がある。そのため、Part 18の定義を修正することになった。一方、Part 1の定義では、Part 18で記載されている化学分析の有用性が読み取れないことから、FDIS段階で対応可能な範囲で修正することになった。
- 複数定義されている“release case”が理解し難いというのはどういう意味か?→定義に使用されている“extractable”や“leachable”の定義がPart 12と整合されていないことがその主な原因であった。そのため、必要な部分をPart 12と整合させることになっている。
2. WG状況報告
- WG 1(坂口副委員長)
現在FDISとなっているPart 1は成立が見込まれ(見込み通り成立すれば)、しばらく活動は休止することになる。
#FDISに関しては最終確認が行われ、“approval”で投票することとなった。
- WG 2(吉原委員)
現在、DISとしてPart 9及び15が投票期間に入っている。いずれの文書もCD段階から大きな変更はされていないと思われるので、再度、内容を精査し、そのことが確認できれば、CD投票時の方針通り、賛成で差し支えないと考えている。また、生体内分解吸収性材料に関する文書(TS
37137-1、TR 37137-2)に関しても、引き続き内容を精査し、今後の対応を提案したい。
- WG 3(黒澤委員)
前回国内委員会で報告した通り、我が国でも実験動物の取り扱いに関するガイダンスが環境省より発行された。その内容をPart 2にも入れ込むべく検討を行っているが、上記ガイダンスの内容が不十分な可能性も指摘されている。このガイダンスに関しては、関連するWorkshopが実験動物学会等で行われるので、情報収集を行い、Part 2改定案作成に利用したいと考えている。
一方、上記ガイダンスだけでなく、本体となる動物愛護法の改正も必要だと考えるが、大幅な改正は難しいと考えられているようである。但し、動物愛護団体からは、動物愛護法から除外されている実験動物や畜産動物に関して届出制にするよう、動物愛護団体から要求される可能性が出てきている。
質疑
- 本件はGLP省令にも影響するはずだが、PMDA内部はどう考えているか情報はないか?→現在は情報収集に徹しており、それ以上の活動は考えていないようである。
- WG 4(藤井委員)
資料を元に、活動状況が報告された。なお、日本が事前に準備していた内容はほぼ全て受け入れられていることも紹介された。また、Annex Aに記載されている統計学的懸念事項を別のAnnexとすることを我が国が提案していたが、却って議論を引き起こす懸念があること、現在の記載は推奨事項扱いであることから現状維持を受け入れることとした。
- WG 5(山影委員)
特に報告事項はない。
- WG 6(橋本委員)
Part 3改定のための原案が回覧されてくる予定だったが、まだ回覧されていない。回覧されれば、MLで委員会に回覧させていただく。
- WG 7(坂口副委員長)
特に報告事項はない。
- WG 9(谷川委員)
特に報告事項はない。
- WG 10(勝田委員)
特に報告事項はない。
- WG 13(中岡事務局長)
特に報告事項はない。
- WG 15(蓜島委員長)
特に報告事項はない。
- WG 16(蓜島委員長)
発行のための投票が終了した「発熱性」の文書であるが、未だに動きがない。
- WG 17(宮島委員)
特に報告事項はない。
- SC 1(中岡事務局長)
医療機器に利用する組織由来製品(コラーゲン等)の安全性に関するリスクマネジメント文書のPart 1のCD投票が実施され、反対票がなかったことから正式にDISに登録されることとなった。
3. 投票案件報告(中岡事務局長)
配布資料を元に、これまで実施した投票とその結果が紹介された。また、今後の投票案件としてFDIS 10993-1、DIS 10993-9、DIS 10993-15があり、FDISは先の決議通り賛成投票を行うこと、DIS2件は6月末を目処にMLでコメントを寄せてもらうこと、また主査にその取りまとめを行ってもらうことが確認された。
4. 国内ガイダンス改定準備作業班、JIS T0993-1改正各種委員会、医機連WGの活動状況について
- 国内ガイダンス作業班現状報告(蓜島委員長)
これまでにオープン形式で会議を3回開催し、関係者全員の意見を反映させた改訂案の作成を進めている。次回は6月に非公開で開催するが、本委員会メンバーはオブザーバーとして参加可能である。第5回は業界に公開する形で早ければ9月頃に開催する。
- JIS-T0993改正各種委員会(蓜島委員長)
第1回分科会を本委員会の直前に開催した。FDIS 10993-1の翻訳版を基にたたき台を作成し、8月頃からメールベースで議論を行う予定である。来年9月の公示を目指して作業を行っていく。
- 医機連WG(近藤オブザーバー:MT JAPAN)
20号通知改定ガイダンス及びQ & Aの業界案を作成中である。業界からTC 194国内委員会への質問事項等も整理しているので対応をお願いしたい。規制当局、JIS委員会等とも連携しながら、認証機関への影響も考慮しつつ、適宜、作成を進めていく予定である。
5. その他
- 日本歯科理工学会第71回春季学術集会、シンポジウム「日本歯科理工学会と国際標準化機構(ISO)」開催報告(米山委員)
平成30年4月14日、15日に、本委員会委員でもある大阪歯科大学の今井教授が大会長となり開催された日本歯科理工学会学術集会で上記シンポジウムが開催され、シンポジストの一人としてTC 194の活動状況を紹介した。なお、参加者は約400名であった。
- 第45回日本毒性学会学術年会について(蓜島委員長)
上記学会にて「医療機器の生物学的安全性試験の話題提供」のセッションが設けられ、演者の一人として中岡事務局長がTC 194の現状を紹介する。その他、化学分析に係るNAMSAの取り組み、生安性試験における国内外のギャップと対策例に関する講演が企画されている。座長はPMDAの白土氏とハイシマが務める。会場は大阪だが、興味のある方は是非とも聴講して欲しい。また、医機連を介して業界から事前質問を募っている。(医機連関係者から、質問の取りまとめ中であることも紹介された)
- Liaison報告
- TC 150及びTC 150/SC 7(中岡事務局長)
1月にSC 7初の国際標準が発行された。セラミックス多孔体に対する細胞侵入度合いを測定する方法を規格にしたものであり、細胞侵入度合いに応じてその多孔体の生体適合性も評価できる方法である。また、sGAG染色による軟骨再生評価方法の標準化も進んでおり、近々正式に発行される予定である。TC 150本体では数多くの議題があるためそれらの状況に関しての質問は個別にお願いしたいが、日本から「外科用インプラント評価のための患者モデル」の標準化提案が行われWGが立ち上がったことを紹介しておく。
- TC 106(吉原委員)
歯科分野でも、TC 194と歩調を合わせて生物学的安全性に関する文書の改定が進んでいる。FDIS投票がちょうど始まったことから、追加の討議が次回のミラノ会議で行われる可能性がある。
- TC 172(松永委員)
先週、ベルリンで総会が開催されたばかりである。新しい技術を適用した試験方法の標準化が進んでいる。
- IMDRF(村上委員)
IMDRFではStandard WGが設立されており、医療機器の適合性確認における規格、規制に用いられる規格のあり方について議論が行われている。規格とIMDRF文書に齟齬があった場合、規制当局、業界双方にとってデメリットとなるため、規制に用いる規格を最適化するためのガイダンスを作成中である。当該文書のパブコメは終了したが、来週、その討議を目的とした会議が開催されるため、可能であれば内容を確認していただき、コメントを早急にお送りいただきたい。
TC 210との連携は結ばれる予定だが、TC 194も対象になりうるので、そのための活動も考慮して欲しい。
質疑
- 最適化の具体例は記載されているのか?→考え方は記載されている。
- 規格と規制をイコールにする方向は避けて欲しい。→それは理解している。細かいところまで規制が入り込むことはない。ただ、作った規格を有効利用するために相補的な関係を作ることは有益。
- 文書は入手可能か?→まだ、Webで入手できるはずである。→確認できたため、すぐにMLで回覧する。コメントがあれば、MLに寄せていただきたい。
6.次回日程
12月にベルリンで総会があることから、9月末から10月初めを目処に改めて日程調整を行う。
以上