令和3年度 第1回TC 194国内委員会議事録
日時:令和3年 5月19日(水) 14:00 – 16:30
開催形式:WebEx
出席者(敬称略):
蓜島(委員長)、岸田(副委員長)、坂口(副委員長)、穴原、伊藤、加藤、金澤、黒澤、小林、須井、髙島、玉置、中村、野村、橋本、畑中、平井、藤井、宮島、森、森下、矢野、吉原、米山、中岡(事務局長)
オブザーバー:
玉井(オリンパス)、伊藤(MT JAPAN)
議事
1. 開会の挨拶
委員長より、前回会議から1年以上経過しての開催であると共に、新型コロナの感染拡大の状況等を鑑みた挨拶があった。
2. 委員交代について
委員長より、以下の委員交代について報告された。また、今回の会議には玉井氏(オリンパス)がオブザーバ参加することも併せて報告された。
退任:遠藤委員(PMDA医療機器調査・基準部)、冨安委員(PMDA医療機器審査第一部)
就任:森下委員(PMDA医療機器審査第二部)、玉置委員(TC 106/WG 10 liaison)
復帰:伊藤委員(PMDA医療機器審査第二部)
3.WG活動報告
各WGの主査、副査より、前回委員会以降の活動状況が資料を用いて報告された。質疑応答を含めて、主な内容は以下のとおりである。
- WG 1, 7, 15(坂口副委員長)
WG 1:資料どおり。Part 1発行後、特に活動はなし。
WG 7:資料どおり。Part 20(免疫毒性)の定期見直し投票が3月に開始されたことから、現在、改訂を提案する方向でコメントをまとめている。
WG15:資料どおり。
<質疑>
- WG 7に免疫毒性の新たなエキスパートとしてボゾの大石氏を招聘して良いか。
→委員の賛同が得られたため、推薦を受け入れる。会議後、推薦者の詳細な情報を提供してほしい。
→了承した。 - 清浄性に関する文書提案は、全ての医療機器を対象としたものか?
→再製造や再利用を目的とした医療機器の清浄度が対象と考えられる。
→通常の医療機器の清浄度、例えば滅菌前の洗浄も包括されるか?
→中間物質を取り除くために洗浄することはある。それを清浄度に含めるかはわからない。
→他のTCでは高価な医療機器の再利用が話題になっているとの情報がある。
→恐らく、再製造品に関する標準化の試みと思われる。一方、再利用可能な医療機器については、ドイツ、米国(AAMI TIR30)、日本で清浄性評価項目や許容基準値が規定されているが、国際整合されていないため、議論の対象になると思われる。対象となる医療機器の範囲については、文書案が回覧された際、確認することにする。
- WG 2(吉原委員)
資料を参照のこと。なお、TC 106において2018年に改訂された生物学的安全性標準であるISO 7405について用語等を改訂する動きがあるとの補足情報が提供された。
<質疑>
- セラミックスの分解物に関する標準は改訂の必要性があるのか。
→詳細は把握していないため、調査後、必要に応じて報告する。
- WG 3(黒澤委員)
Web会議を2020年8月に開催後、特に動きはない。なお、Part 2のDISをFDISにする際、Bibliographyに実験動物の安楽死に関する文書を追加する予定である。一部の執筆に参画した実験動物愛護に関連するハンドブックが先日発行されたが、国際的な規制状況も記載されているので、こちらもBibliographyに追加する予定である。国内における動物実験に関する認証システムにおいて、管理団体に変更があったため、関係者は留意されたい。
<質疑>
- Part 2に関する次の作業は何か?
→来年の2月にFDIS投票を開始すれば良いので、期日に間に合うようFDIS作成作業を進める。
- WG 4(矢野委員)
資料を参照のこと。
<質疑>
- 今後の課題として4つ提案されているが、1つ目と2つ目はリンクしているのか?
→全て独立した課題提案である。
- 3つ目の課題として、GCP以外の案件をWG 4で検討するのか?
→リエゾン的立場で動くと思われる。
- AIの臨床評価をWG 4で取り扱うのか?
→TC 194の関与は難しいと思われる。
- 日本にとって有益なテーマは3つ目か?
→そう理解している。
- WG 5(宮島委員)
資料を参照のこと。
<質疑>
- Pilot studyへの参画機関をGLP対応ラボに限定した理由は何か?
→最初の段階で正確なデータを得たいため、Convenorが提案したと考えている。
→本試験でGLP対応を求めないことと矛盾している印象がある。 - 陽性対照にDMSO、Latex Gloveを使用するようだが、Latex Gloveで毒性を示す物質は同定されているのか? 同一ロットを確保できないと本試験が成立しないと思われる。
→Pilot studyに限定しては同一ロットを確保できるとの考えである。 - 食薬センターが領布している陽性対照材料を安価に提供できないのか?
→この試験のために同一ロットを提供することは費用的に困難である。
- WG 6(橋本委員)
資料を参照のこと。
- WG 8(加藤委員)
資料を参照のこと。
<質疑>
- 議長提案のWG 8ロードマップの具体的な内容を知りたい。例えば、感作性評価におけるin vitro試験の組み合わせ等を提示していたか?
→当該組み合わせはOECDでも整理されていない様子だが、その考え方を医療機器にも適用したいとの意向が示されていた。
→抽出液を用いた評価では感作性の検出が難しいので、適切な方法を検討したい意向があるようだった。ロードマップのスライドを再度メーリングリストに送る。
→Round Robin Testを実施するようであれば、衛研で開発中の標準材料を提供することもできる。
- RhEモデルを使った刺激性試験については、皮内反応試験の代替として使用できる科学的根拠を得るため検討を行ってきたところ、一次刺激性試験よりも動物実験結果との相関性が優れていることを示す結果が得られた。論文化した後、WG 8に情報提供したいと考えている。
→審査において、RhEモデルを利用したin vitro皮膚刺激性試験データをin vivo皮内反応試験の代替として利用することができるか?
→Part 23の発行に伴い、感度が高いことを考慮しつつ皮内反応試験の代替として使用は可能となるため、関係者には情報提供中である。
- WG 9(谷川委員)
報告事項は特にない旨、委員長が代理報告した。
- WG 10(中村委員)
資料を参照のこと。
<質疑>
- 抽出されている課題とは具体的には何か?
→誤植、対照材料の明確化等、比較的マイナーな事項である。
- 改訂後のPart 1でインプラントのエンドポイントが増え、埋め込まない医療機器にも埋め込み評価が求められている。次の改訂時には、どのような対応を行うのか整理をお願いしたい。
→Informative Annex等とすることが妥当を考えられる。
→承知した。
- WG 11(平井委員)
資料を参照のこと。なお、業界関係者からPart 17の対象となる生安性評価を明確にすること、文書化における責任者の資格要件は曖昧なままとすることを希望するとの意見が寄せられていることも、別途、報告された。また、穴原委員から、WG会議で噴出した諸問題を解決するためAd
hocを立ち上げ討議することになったが、1つのWGで全てを解決しようとする方針は問題だと考えているとの補足情報が提供された。
<質疑>
- 他国から日本として気になるコメントはあったか?
→実務上、厳しい方向となるコメントは見受けられなかった。
- TSLはunknownに適用しないとのことだが、unknownと判断された段階で除外規定物質が含まれる懸念があるのでTTCは使えないのではないか。
→その理解で差し支えない。
→TSLは同定された化合物のみに適用可能と理解している。
→この点を議論するため、Sherry Parker をリーダーとするAd hocを設立する予定になっている。
→AETを越えた化学物質を確実に同定することが必須である。TTCアプローチにおいて、AETを越え且つ毒性データが報告されている化学物質については、個別にリスク評価することが基本になるはずであるが、TSLとして一律の限度値を新たに設ける場合、TTC概念を二重に適用している、若しくはTTC概念から逸脱しているように思える。
- WG 12(金澤委員)
資料を参照のこと。
<質疑>
- 生安性評価用と化学分析用の抽出条件を明確に分けることには賛成する。
- WG 13(中岡事務局長(代理))
報告すべき動きはない。
- WG 14(中岡事務局長(代理))
投票の結果、Part 18の改訂が認められたはずであるが、まだ正式な業務として登録されていないことから、WG 12での提案を受けた内容を含んだ改訂となる可能性がある。
- WG 16(蓜島委員長)
資料を参照のこと。
- WG 17(宮島委員)
報告すべき動きはない。
- CAG(中岡事務局長)
議事概要を参照のこと。なお、ISOがDirectivesの要件を厳密に対応する方向となっていることから、WGの解散を避けるため、討議案件のないWGには何らかの予備討議案件を正式登録させるよう、議長がconvenorに要請していることが追加で報告された。
4. 投票案件報告(中岡事務局長)
資料を参照のこと。
5. 定年を迎えた委員等の継続について
規約に従い、定年年齢を超えた黒澤委員、矢野委員の委員継続について審議した結果、全会一致で継続が承認された。
6. その他
- 今後のISO国際会議の開催方針について(中岡)
現在、ISOからは理事会レベルの決議として、2021年8月末までの対面式会議が禁止されていることが紹介された。また、対面式会議が可能となった場合には、以前から招待を受けている中国で総会を開催すること、その次はフランスで開催を予定していることが紹介された。
- その他
- 国内ガイダンス日英対訳版が発行されたことが、執筆協力者への謝辞とともに報告された。
- オブザーバーの玉井氏から、感作性、清浄性に関する標準化作業であれば本委員会の活動に協力可能との意見があった。そこで、正式な参画について、後日委員長と玉井氏とで相談することが確認された。
- 平井委員から自社内の若手をオブザーバーとして登録したいとの要望があり、基本的に受け入れることとした。
以上