標準化委員会の見直しについて

                              1997.10.2

                     標準化委員会・委員長  中村晃忠

(骨子)
 標準化委員会は、1989年以来、主に医療用具の生物学的評価の枠組みと試験方法の
標準化を主題として活動してきたが、日本のガイドラインが確定し、ISO/TC194の活動
も一段落したので、委員会の活動方針を見直す時期にきたと判断した。新しい方針の
骨子を以下に示す。
 1.ISO/TC194国内委員会の主な活動から離れる。(国内委員会は別途に日本医療
   器材協会内に組織される。)
 2.新規課題を設定し、それにふさわしい組織に再編する。

(歴史)
 1988年、厚生科学研究「医療用具及び医用材料の毒性試験体系の確立に関する
研究」が始まり、日本バイオマテリアル学会標準化委員会(委員長:中村晃忠)
および産業委員会(委員長:桜田洋)、日本医療器材協会が中心となって生物試験
ガイドライン化の研究を行った。
 1989年、ISO/TC194「医療用具の生物学的評価」が発足。
 日本医療器材協会が引き受け団体となり、実質審議は日本バイオマテリアル学会
標準化委員会、同産業委員会によって日本のガイドライン化研究と並行してすすめら
れた。
 ISOへの代表派遣費用は日本医療器材協会が負担し、内容審議のための会議費用は、
日本バイオマテリアル学会が負担してきた。また、ISO/TC194事務局や各WG議長との
連絡の大半は、国立衛生試験所・中村晃忠が行ってきた。

(現状)
  日本の生物試験法ガイドラインは医療機器開発課長通知(H7.6.29)となり、
ISO/TC194も試験の枠組みと個別試験法の一通りの標準化作業を終えた。しかし、
医療用具の生物学的評価の国際調和作業はその第1段階を終えたものの、相違点や
問題点も明らかとなり、それらを克服するための改訂作業や新たな取り組みが始まり
つつあり、活動はまだまだ続く情勢である。これからの作業には、企業と規制当局の
参加が今まで以上に重要であり、学会は一歩退いた方がよい時期にきたと判断する。
 また、日本バイオマテリアル学会理事会でも指摘されてきたように、現在の標準化
委員会のあり方とTC194活動への経費負担について見直すべき時期にきたと考える。
 また、中村は、低費用で効率的に広範囲に情報を提供し、意見を求めるためのイン
フラとして、「TC194国内委員会ホームページ」を立ち上げ、アップデートを行って
いる。これによって、いつでもバイオマテリアル学会の役員・会員の意見も聴取でき
る状況になった。

(新しい対応案)
1.ISO/TC194 国内検討体制について
 〇 ISO/TC194国内委員会をバイオマテリアル学会から分離する。
 〇 ISO/TC194国内委員会事務局は日本医療器材協会が主宰する。
   国内委員会事務は、国立医薬品食品衛生研究所・療品部と協会の協同で行う。
 〇 日本医療器材協会の会員企業から希望者を募って委員に加え、
   企業のISO/TC194や生物評価基準へのより積極的な取り組みを促す。
 〇 協会は積極的に講習会などを開いて会員の知識の向上を図ると共に、
   ひろく意見を集める。
 〇 協会は一部委員の海外派遣費用を負担する。
 〇 会議は原則として協会会議室で行い、会議資料のコピーなどは協会が行う。
2.日本バイオマテリアル学会・標準化委員会
 新課題を設定し課題にふさわしい人選(公募を含む)を行う。

本方針は、9月29日に開催されたバイオマテリアル学会理事会で承認された。
また、日本医療器材協会理事会でも承認された。