TC 150及びTC 150/SC 7の活動状況について(2015年)
(各リンクは新規ウインドウで開きます。2014年の活動状況はこちら。)
TC 150 “Implants for surgery”(ISOのページへ)
1971年設立
議長:Mr. John Goode (米国FDA)、幹事国(事務局):ドイツ(ドイツ標準局)
参加国:日本、米国、ドイツ、英国、フランス、韓国等 (P-member 27ヶ国)
オブザーバー参加国(O-member) 18ヶ国
国内審議団体:
討議内容:
その名の通り、外科用インプラントに関連する国際標準を作成するTC。具体的には材料規格、人工心臓、人工関節等に関する国際標準を討議中。これまでに141の国際規格を作成している。現存するWGは4つ、SCは7つ(うち1つは休眠中)(詳細はリンク先を参照のこと)
再生医療分野を担当するのはSC 7であるが、材料規格や人工関節の試験法等の標準化のいくつかが我が国主導で行われており、パーソナライズド人工関節や試験用模擬骨に関する標準化も日本主導で行われている。これらの提案には、現在、急速な発展を遂げている三次元積層造形技術、いわゆる3Dプリンターによる作製技術も絡んでおり、2015年のベルリン総会では三次元積層造形の標準化を行っているTC
261 “Additive manufacturing”と新たにLiaison関係を構築することとなった。
TC 150/SC 7 “Tissue-engineered medical products”(ISOのページへ)
2007年設立
議長:Dr. David Kaplan (米国FDA)、幹事国:日本(日本工業標準調査会)
参加国:P-member 13ヶ国
O-member 5ヶ国(ポルトガルが新たに参加)
国内審議団体:
(一社)日本ファインセラミックス協会
作業範囲:
再生医療製品(機器)の一般的事項(用語や一般的要求事項)、有効性評価技術等(Cell Therapyは対象外)
設立経緯:
2001年に再生医療製品の一般的要求事項に関する標準化作りが採択され、オーストラリア人を議長とするWG 11が設立された。しかしながら、異なる各国規制を背景にした意見をまとめあげることができず、文書作成自体は不調のまま終了。再生医療分野の国際規格を求める声もありながら、その意見をまとめあげることができなかったのは、アクティビティが上がらなかったことが原因と判断し、日本からWGより新たな専門家が集まり易い分科委員会(SC)へとWG
11を拡大する提案が出された。その後、2度の投票を経て、2007年にSC 7が設立された。なお、討議対象に関しては再生医療製品に関する事柄全てとする方針があったが、一部メンバーから「再生医療製品の評価」=「生物学的評価」であるため、この件はTC
194で討議すべきとの意見が上がった。名称には「生物学的評価」とあるものの、実際にTC 194で討議されているのは医療機器の「安全性評価」のための生物学的評価であり、再生医療に用いる人工物(scaffold)への適用は可能だが、製品そのものの安全性・有効性評価とは異なっていた。しかしながら、その実状を理解させることは思いのほか難しかったため、折衷案として「生物学的安全性」に係る標準化はTC
194に任せることとし、TC 150/SC 7ではその他の事柄、例えば物理的安全性、用語、有効性評価技術等を対象とすることになった。
現状:
SCに拡大したものの、思ったほどの専門家が参加してこなかったが、新しく参加した中国及びブラジルが積極的に関与してきたため、少しずつ状況は改善されてきている。事実、プロジェクトを進めるためのWeb討議が頻繁に行われており、CDが2つ、新規提案間近のPWIが1つ登録されている。
ほとんどの国で再生医療製品は「医薬品」として規制されている現状に変わりはないが、細胞治療を中心とした再生医療等製品の規制や産業化に資するような規格が求められてきている。医薬品の国際整合を行うICHでは未だに再生医療製品に関する議論は始まっていないことから、細胞治療に関する周辺技術等の規格作成がISO内で可能か模索している規制当局が増えてきている。その中で、米国FDAは関連する委員会に積極的に職員を派遣しており、ISOにおける標準化活動のリーダーシップを握るため戦略的に活動を行っていることが伺える。細胞治療関連の標準化はSC 7のScope外であることから、現在、TC 276での作成が模索されており、我が国がこの分野でリーダーシップを取るためにはSC 7のScopeを修正する必要が生じる。そのことも踏まえ、日本がこの分野でリードするための戦略を産官学で検討すべき時期にきている。特に、2016年の総会が、予てから望まれていた通り、その業務範囲の明確化と少ないresourceをどのように有効に使うかを検討する目的で、TC 194/SC 1と9月に合同で開催されることになった。合同会議までには、国としてこの分野の標準化をどのような戦略で進めていくか、明確な方針を立てることが望まれる。
現在進行中のプロジェクトは以下のようになっている。
Last update 2016.03.25
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