TC 150/SC 7の活動状況について(2016年)
(各リンクは新規ウインドウで開きます。2015年の活動状況はこちら、2014年の活動状況はこちら。)
TC 150/SC 7 “Tissue-engineered medical products”(ISOのページへ)
2007年設立
議長:Dr. David Kaplan (米国FDA)、幹事国:日本(日本工業標準調査会)
参加国:P-member 13ヶ国
O-member 6ヶ国(サウジアラビアが新たに参加)
国内審議団体:
(一社)日本ファインセラミックス協会
作業範囲:
再生医療製品(機器)の一般的事項(用語や一般的要求事項)、有効性評価技術等(Cell Therapyは対象外)
設立経緯:
2001年に再生医療製品の一般的要求事項に関する標準化作りが採択され、オーストラリア人を議長とするWG 11が設立された。しかしながら、異なる各国規制を背景にした意見をまとめあげることができず、文書作成自体は不調のまま終了。再生医療分野の国際規格を求める声もありながら、その意見をまとめあげることができなかったのは、アクティビティが上がらなかったことが原因と判断し、日本からWGより新たな専門家が集まり易い分科委員会(SC)へとWG
11を拡大する提案が出された。その後、2度の投票を経て、2007年にSC 7が設立された。なお、討議対象に関しては再生医療製品に関する事柄全てとする方針があったが、一部メンバーから「再生医療製品の評価」=「生物学的評価」であるため、この件はTC
194で討議すべきとの意見が上がった。名称には「生物学的評価」とあるものの、実際にTC 194で討議されているのは医療機器の「安全性評価」のための生物学的評価であり、再生医療に用いる人工物(scaffold)への適用は可能だが、製品そのものの安全性・有効性評価とは異なっていた。しかしながら、その実状を理解させることは思いのほか難しかったため、折衷案として「生物学的安全性」に係る標準化はTC
194に任せることとし、TC 150/SC 7ではその他の事柄、例えば物理的安全性、用語、有効性評価技術等を対象とすることになった。
現状:
ほとんどの国で再生医療製品は「医薬品」として規制されている現状に変わりはないが、細胞治療を中心とした再生医療等製品の規制や産業化に資するような規格が徐々に求められてきている。医薬品の国際整合を行うICHでは未だに再生医療製品に関する議論は始まっていないことから、細胞治療に関する周辺技術等の規格作成がISO内で可能か模索している規制当局が増えてきている。その中で、米国FDAは関連する委員会に積極的に職員を派遣しており、ISOにおける標準化活動のリーダーシップを握るため戦略的に活動を行っていることが伺える。細胞治療関連の標準化はSC 7のScope外であることから、現在、TC 276での作成が模索されており、我が国がこの分野でリーダーシップを取るためにはSC 7のScopeを修正する必要が生じる。また、AMEDプロジェクトの一環で、再生医療に用いる細胞の造腫瘍性評価法を標準とするための活動が実施されており、その成果をHealth Environment Science Instituteから発行した後、ICHで標準化を進めようという動きがある。造腫瘍性は細胞の「安全性」に関するものであるためSC 7での対象とはなり得ないが、新たな動きがあることも踏まえ、日本がこの分野でリードするための戦略を産官学で検討しなければならない。各々が独立して動いている原因としては、医薬品関連の標準化はICHで行うべきという考えや、既存団体の既得権を守ろうという考えが考えられるが、そろそろしかるべき機関がとりまとめに入るべきだと思われる。そのような状況が強くなっている中、SC 7の2016年総会は、予てから望まれていた通り、その業務範囲の明確化と少ないresourceをどのように有効に使うかを検討する目的で、TC 194/SC 1と9月に合同で米国FDAにて開催された。しかしながら、合同会議においてはSC 1との積極的な連携体制を構築するまでには至らす、また、細胞治療をどのように扱うべきかその方針を明確化することはできなかった。一方、SC 7のプロジェクトは着実に標準成立へと進んでいることから、我が国はどのように成立した標準を利用すべきか、議論を深めていくことが望まれる。
現在進行中のプロジェクトは以下のようになっている。
Last update 2017.03.27
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