令和3年度 第2回TC 194国内委員会議事録
日時:令和4年 2月25日(金) 14:00 – 16:30
開催形式:MT JAPAN会議室201(WebExとのハイブリッド形式で開催)
出席者(敬称略)
委員
現地:蓜島(委員長)、坂口(副委員長)、髙島、矢野、野村、加藤、宮島、中岡(事務局長)
Web:畑中、平井、名本、穴原、伊藤、岸田(副委員長)、岩﨑、山田、橋本、森下、須井、中村、黒澤、米山、藤井、金澤、吉原、森(幹事)
オブザーバー
現地:伊藤(MT JAPAN)
Web:玉井(オリンパス)、田村(テルモ)、山口(JMS)、石川(PMDA)
議事
1. 開会の挨拶
委員長より、今回の会議も新型コロナの感染拡大の状況等を鑑みてハイブリッド形式で開催することが説明された。
2. WG活動報告
各WGの主査、副査より、前回委員会以降の活動状況が資料を用いて報告された。質疑応答を含めて、主な内容は以下のとおりである。
- WG 1(坂口副委員長)
WG 1:Part 1改訂が豪州から提案され、賛成多数で採択されたが、ドイツ、アメリカが反対。1月にWeb会議が開催され改訂趣旨の説明、ドイツ、アメリカの反対意見の説明、それらを受けた討議が行われた。投票及び会議詳細は資料を参考のこと。
<質疑>
- 一目で評価項目が分かる表に慣れていることもあるが、新たに提案された星取表は違和感がある。図1のフローチャートもどう変わったか。
→基本的な流れや評価項目は変わっていない。ただ、今回の改訂によるメリットが感じられない。星取表は注釈が多いため理解が難しくなったと思われるし、よく確認すると現行の星取表と一致しない箇所もある。それらの点は賛同できない。一方、現在、作成が難渋しているPart
17や既存のPart 18の位置付けを明確にする目的の改訂については理解するし、日本として賛成票を投じた理由になってと考える。
- リスク評価においてISO 14971が上位にあることは理解できるが、生物学的安全性はその一部であり独立した評価である。
→Part 1にはISO 14971の一環として生物学的安全性評価を実施することが既に記載されている。この位置付けを極度に強調するのは行き過ぎと感じている。
→その方向の改訂は日本として避けるべきである。
→Part 1における問題点の一つとして、フローチャートの最初で実施すべき化学及び物理化学的特性情報収集のボックスにわざわざPart 18を記載したことで化学分析が過度にクローズアップされたことである。必ず化学分析を利用してリスク評価を実施すべきと誤解した申請者が多く、不適切、あるいは不要な化学分析を実施したリスク評価を基にした申請が散見される。
→フローチャート及び本文の適切な修正を提案することを推奨する。Part 18の修正は必要ないか。
→Part 18には化学分析による評価はオプションであることは明記されていることから、Part 1を修正すべきと考える。
- 埋植試験に関する星取表の議論はあったか。修正案では従来よりも多くの機器で埋植試験が要求されるように見える。
→注釈に埋植試験を除外される機器は記載されているので、現行の星取表とは変わらないが同様の誤解を生じる懸念がある。→会議ではドラフトの詳細に関する議論はなされていない。
- WG 2(吉原委員)
資料を参照のこと。なお、TC 106年次総会に関する紹介も行われ、歯科分野の生物学的安全性標準であるISO 7405にレジン系材料のモノマー毒性に関する附属書Dを追加することを主とした日本からの改訂提案がWG
10を介してTCに提出されたとの補足情報が提供された。
<質疑>
- 実質的に休眠中と理解しているが、何か動きはあるか。
→情報は回覧されていない。
- ISO 7405の改訂趣旨は何か。
→報告したとおり、レジン系材料のモノマー毒性に関する附属書追加である。また、Part 1の改訂動向に歩調を合わせたことも予想される。
- WG 3(黒澤委員)
前回報告したWeb会議以降はコロナ禍のため活動が滞っていた。FDISへと進めるための準備は進んでいるため、その内容チェックをメンバーに依頼する予定である。
<質疑>
- 発行締め切りが迫っているようだが、現時点の進捗状況を説明して欲しい。
→Bibliographyに英国提案の文書は追加したが、FDIS原案提出前に修正が必要と感じている。その箇所さえ修正すれば、FDIS原案は提出可能である。
→Deadlineまで6ヶ月を切っているはずなので、粛々と作業を進め、速やかに議長と委員会マネージャに必要書類を提出いただきたい。
- WG 4(矢野委員)
資料を参照のこと。
<質疑>
- ISO 14155はGCPなのでISO 14971を過度に引用する必要はないと思われる。
→関係ない訳ではないが、英国が過度に引用したがっている。→実際に改訂作業に入った際に注意すれば良い。
- WG 5(宮島委員)
資料を参照のこと。
<質疑>
- Round Robin Testの趣旨が不明である。各試験法の感度差を科学的に示すことが目的であれば、食薬センターが頒布している陽性対照材料A,Bを使うべきだが、毒性が強いと思われるラテックスグローブを使用することから、企業側としては全ての方法で細胞毒性を検出できる結論を誘導したい意向があるように思われる。
→ご指摘のとおりである。本試験で有意義な結論が導けるよう、標準材料を使用していただけることを期待している。
→日本としては、過去の実施された案件を含めて非科学的なRound Robin Testへの参画について一考する余地がある。研究レベルで各試験法の感度を比較検証し、論文化する選択肢もある。
- WG 6(橋本委員)
資料を参照のこと。なお、有機溶媒抽出も討議対象とする方向だったが、WDの内容から判断してその議論は含まれないことが補足情報として提供された。
<質疑>
- Part 12の改訂までは変更しないよう要望していたと思うが、ハザード解析を行うのであれば、日本発の有機溶媒抽出による被検物質調製は中途半端と感じている。
→現在は経験則に基づいた溶媒が選択されて試験に用いられていると把握している。
→現状の国内審査において、有機溶媒抽出による評価を求めているか。
→必須とはしていない。
→国際標準を改訂する際は、原則として、提案者がその根拠を提示する必要がある。
→個人的には削除されても問題ないと思うが、ご指摘のとおり根拠の提示は要求すべきである。
→日本はこれまでその方法で評価してきた経緯があり、有用な方法と考えている。Part 12の改訂までは変更すべきではないと考える。
→国内ガイダンスにも影響する内容であるため、熟考の上、対応すべきである。
→令和元年度の第2回国内委員会で有機溶媒抽出の取扱に関する議論が為されている。その際の結論として、我が国は有機溶媒抽出を残すことを前提に、削除提案者にその科学的根拠の提示を要求すること、Part
3に関しては本文中に記載を残すかPart 12を引用する形で修正するよう要求することとなっている。
→日本としては、その方向で討議を進めることとする。
- WG 7(坂口副委員長)
9月に免疫毒性のガイダンスに関する定期見直し投票が実施され、日本は「改訂」に賛成した。また、改訂作業に向けて新しいExpert候補者を選定した。
- WG 8(金澤委員)
資料を参照のこと。
<質疑>
- 国立衛研では、感作性試験用陽性対照材料(1% DNCB含有PUシート)の開発とin vivo及びin vitro試験による性能検証を終えている。また、in vitro試験パッケージの確立を目指して、感作性強度が異なる化合物を配合した各種の標準材料の作製も進めており、近いうちに基本的な性能検証が完了する。労力や費用等については別途考える必要があるが、国際Round Robin Test用標準材料として配布することもできるため、関係者から2月末のWeb会議でWG 8メンバーに提供して欲しい。
- オリンパスとしてはWG 8に協力したいと考えている。協力する方向で相談させていただきたい。
→了承した。
- Part 10は、化学分析からin vitro、in vivoの順に評価する立て付けの文書になっていると思われるが、特に化学分析における各論のガイダンスの必要性に関する議論があったか。
→Part 1に沿った形に修正したいという流れを受けたのみで、そのような議論は為されていない。
- WG 9(谷川委員)
9月にPart 4の改訂に関するPWI投票が実施され、賛成多数で可決された。その他の活動は無い。
- WG 10(中村委員)
資料を参照のこと。
- WG 11(平井委員)
資料を参照のこと。なお、ISO 14971に関しての記載はAnnexに移動させるよう提案することが他の委員から補足説明があった。
<質疑>
- 何故ISO 14971に固執するのか。
→正直よく分からない。
- EOG文書は大丈夫か。
→今後の改訂方向よりも、直前に成立したAmendmentで小児に使用する医療機器のEOG許容値が変更されたことの影響が大きい。
- WG 12(金澤委員)
資料を参照のこと。
- WG 13(中岡事務局長(代理))
PWIが一件登録されたのみで、報告すべき動きはない。
- WG 14(平井委員)
資料を参照のこと。
<質疑>
- Part 18の修正内容は大丈夫か。
→Part 18自体は大丈夫だが、Part 1にその位置付けを明確に記載いただきたい。
- UF = 2とした根拠となる論文があるとのことたが、内容は把握しているか。
→まだ内容を確認していない。
- WG 15(中岡事務局長(代理))
WG存続のためにPWIが一件登録されたが、そのproject leaderがPart 1の改訂に携わっているため報告すべき動きはない。
- WG 16(蓜島委員長)
資料を参照のこと。 なお、ISO/TR 21582:2021は予定どおり昨年7月に発行された。また、JaCVAMは平成22年の審議結果に基づき、化学物質に関するin
vitro発熱性試験を公定法として採用することを保留していたが、来年度から討議を再開することが参考情報として紹介された。
<質疑>
- 動物実験の削減という観点からHCPT試験に期待しているが、USPやEPに当該試験が採用されている一方で、本邦の公定法とはなっていない。今後の本邦における動向に関するより詳細な情報があれば提供いただきたい。
→本邦で公定法となっていない理由はJaCVAMの審議結果にあるが、紹介したとおり、これから公定法としての採否が再検討される。ただ、参画メンバーにPyrogenの専門家が存在しないため、今後の展開が読めない。上手くいけばJPに掲載されることもあり得る。
- WG 17(宮島委員)
報告すべき動きはない。
<質疑>
- WGが消滅する可能性はないか。
→PWIも存在しない上、ISO portalに用意されたフォルダに新しい文書がアップされていない。このままだと、ルールに従いISO中央事務局がWGを解散させる可能性はある。
最後に、委員長から近日中に清浄性評価に関するWG 18が立ち上がることが紹介された。審議内容は全く予想できないが、興味のある関係者、特にオブザーバー参加しているオリンパスに参加を検討するよう依頼があった。
3. 投票案件について(中岡事務局長)
資料を参照のこと。
4. 委員の交代等について
規約に従い、定年年齢を超えた黒澤委員、矢野委員の委員継続の可否について審議した結果、欠くことのできない人材であることから、全会一致で継続が承認された。また、委員長より、新規メンバーの招聘提案を受けていることが紹介された。
候補者:田村 昂(テルモ) 推薦者:平井委員
候補者:山口 拓(JMS) 推薦者:名本委員
候補者:石川 廣(PMDA) 推薦者:蓜島委員長
田村氏は平井委員のサポート等を目的とした人員増強、山口氏は名本委員のJMS定年退職に伴う人員交代、石川氏はこれまでの国際標準化活動への貢献を考慮した人員増強を目的として招聘したい旨が各推薦者から説明された後、候補者本人から自己紹介があった。審議の結果、まだ経験のない田村氏と山口氏はオブザーバーとして、石川氏は再度委員として参画することが決議された。また、オブザーバーは、今後の活動状況を考慮した上で委員として招聘する旨が委員長より説明された。
定年退職される名本委員の退任も併せて認められた。
5. その他
- 今後のISO国際会議の開催方針について(中岡)
現在、ISOからは理事会レベルの決議として、2022年5月末までの対面式会議が原則禁止されていること、ハイブリッド開催を希望する場合は、中央事務局と協議することになっていることが紹介された。また、対面式会議が可能となった場合には、以前から招待を受けている中国で総会を開催すること、その次はフランスで開催を予定していることが改めて紹介された。
- 委員長の交代について
蓜島委員長より、今年度末の定年退官のタイミングと合わせて、委員長職を退任することが報告された。次期委員長の選任については、次回国内委員会において審議することも併せて報告された。
- その他
現在、MT JAPAN事務局を務めている伊藤氏が定年退職に伴いその職を辞することが紹介され、本人から挨拶があった。また、坂口副委員長が後任となるが、MT
JAPANの配慮で副委員長職を一定期間継続されることも併せて紹介された。
以上