TC 150/SC 7の活動状況について(2017年)

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TC 150/SC 7 “Tissue-engineered medical products”(ISOのページへ) 
  2007年設立
  議長:Dr. David Kaplan (米国FDA)、幹事国:日本(日本工業標準調査会)
  参加国:P-member 14ヶ国(アルゼンチンが新たに参加)
       O-member 9ヶ国(アイルランド、デンマーク、チェコが新たに参加)
  国内審議団体: (一社)日本ファインセラミックス協会

作業範囲:
 再生医療製品(機器)の一般的事項(用語や一般的要求事項)、有効性評価技術等(Cell Therapyは対象外)

設立経緯:
 2001年に再生医療製品の一般的要求事項に関する標準化作りが採択され、オーストラリア人を議長とするWG 11が設立された。しかしながら、異なる各国規制を背景にした意見をまとめあげることができず、文書作成自体は不調のまま終了。再生医療分野の国際規格を求める声もありながら、その意見をまとめあげることができなかったのは、アクティビティが上がらなかったことが原因と判断し、日本からWGより新たな専門家が集まり易い分科委員会(SC)へとWG 11を拡大する提案が出された。その後、2度の投票を経て、2007年にSC 7が設立された。なお、討議対象に関しては再生医療製品に関する事柄全てとする方針があったが、一部メンバーから「再生医療製品の評価」=「生物学的評価」であるため、この件はTC 194で討議すべきとの意見が上がった。名称には「生物学的評価」とあるものの、実際にTC 194で討議されているのは医療機器の「安全性評価」のための生物学的評価であり、再生医療に用いる人工物(scaffold)への適用は可能だが、製品そのものの安全性・有効性評価とは異なっていた。しかしながら、その実状を理解させることは思いのほか難しかったため、折衷案として「生物学的安全性」に係る標準化はTC 194に任せることとし、TC 150/SC 7ではその他の事柄、例えば物理的安全性、用語、有効性評価技術等を対象とすることになった。

2017年の活動状況:
 様々な団体がそれぞれの思惑で標準化活動を行っていた中、2017年度に入ってから状況が変わりつつある。細胞治療を中心とした再生医療等製品の規制や産業化に資する標準が求められ始めたのは昨年も報告したところであるが、ISOにおいてTC 276 “Biotechnology”がScopeに細胞治療(Cell therapy)を加えたことから、徐々に「細胞」に関連する標準作成の場がTC 276に移り始めている。そのような中、米国においてStandard Coordinating Body (SCB)という欧米コンソーシアムが設立された。まだ、その実態は明らかになっていないものの、その目的は再生医療分野における細胞や遺伝子及び細胞治療の標準化を米国主導で行うことであること、代表者がNIST所属であり、かつTC 276/WG 3のconvenorであること、FDAも積極的に関与していることが判明している。よって、このSCBを足場にして、様々な国際標準作成団体に関与することで、再生医療に関連した国際標準を米国主導で進める戦略を立てていることが容易に想像できる。
 すでにTC 276が細胞治療をScopeに取り入れたことから、今後TC 150/SC 7が細胞治療に関連する標準を作成するにはTC 276との共同作業が必須となり、今後、我が国がこの分野で国際的なリーダーシップを取るためには新たな戦略を練る必要性が生じた。
 一方、AMEDプロジェクトの一環で、再生医療に用いる細胞の造腫瘍性評価法を標準とするための活動は順調に進んでいる模様であり、その成果がHealth Environment Science Instituteから何らかの形で公表される日も近いと思われる。造腫瘍性は細胞の「安全性」に関するものであるため、産官学で歩調を合わせつつこの形で再生医療に用いる細胞の「安全性」標準を押さえていくことが現実的な方策になりつつある。これらの現状を踏まえて、SC 7では再生医療等製品の最終製品の有効性や一般的要求事項に特化した国際標準を作成すべく活動を続けている。2017年度は、TC 150本体と並行して名古屋で単独の総会が行われ、TC 194/SC 1と合同会議は実施されなかった。しかしながら、各々のプロジェクトで進捗が見られた。

SC 7におけるプロジェクトの現状は以下の通りである。


 終了したプロジェクト

Last update 2018.03.27
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