TC 194/SC 1の活動状況について(2016年)

(各リンクは新規ウインドウで開きます。2014年の活動状況はこちら。2014年の活動状況はこちら。)

TC 194 “Biological evaluation of medical devices” (ISOのページへ)
  1998年設立
  議長:Mr. Albrecht Poth(ドイツ)、幹事国:ドイツ
  参加国:日本、米国、ドイツ、英国、フランス、韓国等 (P-member 23ヶ国)
       オブザーバー参加国(O-member) 26ヶ国)
  国内審議団体:(一社)日本医療機器テクノロジー協会
 

討議内容:
 医用材料及び医療機器の安全性に関する生物学的評価方法(細胞毒性、変異原性、全身毒性等)に関する標準化を討議するTC。このTCで作成されている規格は、その番号から10993シリーズとして業界には知られており、WG 1で作成された基本的考え方に関する規格は国内通知にも引用されている。現存するWGは17、SCは1であり、そのSCで再生医療に使用する細胞のリスクマネジメントに関する規格が発行された。これまでに30の国際規格を作成している。
 歴史的には、TC 150から安全性評価技術に関する部門が分離して設立された様子であるが、その当時の経緯についての詳細を知っているメンバーは少なくなっている。2016年度活動詳細は別ページを参照のこと。

TC 194/SC 1 “Tissue products safety” (ISOのページへ)
  2004年設立
  議長:Dr. Richard Hatchinson(米国 J&J)、幹事国:ドイツ
  参加国:P-member 12ヶ国
       O-member 10ヶ国
  国内審議団体:(一社)日本医療機器テクノロジー協会

作業範囲:
 医療機器に使用する生物由来組織に関する標準化

設立経緯:
 20世紀末からのBSE発生に伴い、反芻動物由来の医用材料、例えばコラーゲンやゼラチン等を使用するにあたっての規制が必要となった。日本では「生物由来原料基準」による規制が行われたが、欧州においては医療機器の規制にISOを利用しているため、その規制のために急遽ISOで関連規格を作成する必要が生じた。そこで、TC 194内に新たにその討議のためのSCが立ち上げられた。このような経緯もあり、当初の議長はFDAの医療機器部門に所属するメンバーが務めた。
 TC 194においては、今後の討議対象を議論するWG 15において再生医療分野が議論対象となっていたが、今後の対応に関する議論が主であり標準化提案そのものは行われていなかった。TC 150/SC 7設立時、このTCとの混乱を防ぐ目的で再生医療製品の「安全性」を議論する場合はTC 194で行うことになっていたことは、TC 150/SC 7の項で説明した通りだが、TC 150/SC 7にドイツ代表が「細胞のリスクマネジメント」の標準化を提案してきたことから、当時のTC 150/SC 7議長とTC 194/SC 1議長との間で調整が行われ、2008年のベルリン会議でその討議の場がTC 194/SC 1に移された。この受け入れに伴い、当初、「死んだ」生物由来組織のみを対象としていた作業範囲が「生きた」組織、すなわち細胞等も対象となるよう、作業範囲が改定された。なお、TC 150/SC 7から移された提案はISO 13022として既に成立し発行されている。しかしながら、世界的な再生医療実用化要望の高まりにより、2017年に予定されているこの規格の定期見直し時、幹細胞類も対象に含めるべく、改訂提案を行う国が出て来る可能性が高い。事実、別TCで幹細胞の標準化に関する提案を中国が模索しているとの情報があり、適切なTCを調査していることが分かっている。

2016年の状況:
 これまでに、このSCで作成された国際規格は以下の5つであり、ISO 22442シリーズのうちPart 1とPart 2はOIE(World organisation for animal health:世界獣疫事務局)が定めていたBSE清浄国に変更があったことを受け、2015年に修正版が発行された。また、Part 3とPart 4は定期見直しが実施され、そのまま維持されることが決定した。

 前述した通り、TC 194/SC 1はTC 150/SC 7と8年ぶりに合同会議を行い、お互いの業務範囲調整やその連携関係の再考を目的とした討議を行ったが、目論んだほど有意義な合同会議にはならなかった。その際、SC 1単独での会議も実施され、見直しが成立したばかりのISO 22442-1及び2の改訂を行うべく議論が行われ、現在その改訂の是非を問う投票が実施されている。なお、改訂作業は米国主導で行われている。また、ISO 13022の定期見直し投票が開始されており、上述した背景を考慮すると、その改訂が行われることになるかが今後の活動の上で大いに注目される。

Last update 2017.03.27
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