TC 150の活動状況について(2017年)
(各リンクは新規ウインドウで開きます。2016年 、2015年の活動状況はそれぞれの年をクリックしてください。)
TC 150 “Implants for surgery”(ISOのページへ)
1971年設立
議長:Mr. John Goode (米国FDA)、幹事国(事務局):ドイツ(ドイツ標準局)
参加国:日本、米国、ドイツ、英国、フランス、韓国等 (P-member 30ヶ国)
オブザーバー参加国(O-member) 16ヶ国
発行IS:150(うち12が直下のWGで発行)、討議案件:61(内6が直下のWGで討議中)
国内審議団体:
討議内容:
その名の通り、外科用インプラントに関連する国際標準を作成するTC。具体的には材料規格、人工心臓、人工関節等の品質・評価に関する国際標準を討議中。これまでに150の国際標準を作成している。現存するWGは5つ(昨年途中に1つ新設)、SCは6つである(SC
3 “Neurosurgical implants”は2016年をもって正式に解散し、WGとなるべく作業が進んでいる)。詳細はリンク先のISOホームページを参照していただきたいが、以下にTC
150に現存するSC及びWGを示す。
WG:
SC:
材料規格や人工関節の試験法等の標準化のいくつかが我が国主導で行われており、パーソナライズド人工関節や試験用模擬骨に関する標準化も日本主導で行われている。これらの提案には、現在、急速な発展を遂げている三次元積層造形技術、いわゆる3Dプリンターによる作製技術も絡んでおり、2015年のベルリン総会では三次元積層造形の標準化を行っているTC 261 “Additive manufacturing”とLiaison関係を構築している。なお、Liaison officerは日本のTC 150国内委員会委員が務めることとなり、情報収集が容易となった。
2017年の状況:
2016年から討議が進んでいた2件の日本提案は無事に国際標準として発行された(パーソナライズドインプラント作成のための三次元デザイン構築に関するものと、評価用模擬骨に関するもの)。前者は企業が製造に利用する技術、後者は大学の研究成果が標準となったものであり、国際標準化を我が国がリードして関連産業及び基幹技術開発を活性化するという国策に叶うものである。今後もこのような取り組みが進むことが期待される。
2017年、8年ぶりに日本(名古屋国際会議場)で総会が行われた。昨年から目立ち始めた国際標準と各国規制における取り扱いの差異に起因する議論が今年も見受けられた。標準は試験法など評価のための共通方法として規制とは区別して国際整合すべきものであるが、特に新興国を中心に、その標準を安全基準として規制に積極的に取り込むために具体的な規格値の記載を要求する傾向が未だに強かった。具体的な個別品目の場合を除いて、評価の考え方のみを記載するに留め、具体的な規格値設定と妥当性証明は産業側に任すという欧米諸国の規制や、新興国の上記現状についての情報共有を図る必要があることから、今年の総会では我々が主体となって、会議が一段落した夜の時間帯に規制と標準の関係性(あり方)に関するワークショップを開催した。このワークショップはアジア連携のきっかけとする予定であったが、図らずも総会に参加したアジア諸国に加えて欧米からも演者を得ることとなり、非常に有意義な情報共有の場となった。なお、発表国は発表順に日本、米国、韓国、中国、サウジアラビア、欧州(UK)、2日間の参加者はのべ140名程度となった。
初日の総会時、日本メンバーから「患者モデル」を対象とした標準化提案のためのプレゼンが行われたが、インプラントとの関連性が明確でないため、その点を問題にするメンバーが多かったことから、TC
150で扱う妥当性を示すことが求められた。また、それ以外にも日本メンバーから新規提案のための球出しが、関連するSC、WGで行われたことから日本がこの分野における国際標準化に積極的であることが見受けられた。
ASTMとの規格重複については、議長らからなるタスクフォースである程度のルールが作成されたが、機能するかは今後注視する必要がある。なお、2018年の総会は9月10日から米国、サンディエゴで開催されることが決まっている。
Last update 2018.03.27
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