TC 150/SC 7の活動状況について(2018年)
(2017年、2016年、2015年、2014年の活動はそれぞれの年をクリックしてください。)
TC 150/SC 7 “Tissue-engineered medical products”(ISOのページへ)
2007年設立
議長:Dr. David Kaplan (米国FDA)、幹事国:日本(日本工業標準調査会)
参加国:P-member 14ヶ国
O-member 8ヶ国(デンマークが脱退)
国内審議団体:
(一社)日本ファインセラミックス協会
作業範囲:
再生医療製品(機器)の一般的事項(用語や一般的要求事項)、有効性評価技術等(Cell Therapyは対象外)
設立経緯:
2001年に再生医療製品の一般的要求事項に関する標準化作りが採択され、オーストラリア人を議長とするWG 11が設立された。しかしながら、異なる各国規制を背景にした意見をまとめあげることができず、文書作成自体は不調のまま終了。再生医療分野の国際規格を求める声もありながら、その意見をまとめあげることができなかったのは、アクティビティが上がらなかったことが原因と判断し、日本からWGより新たな専門家が集まり易い分科委員会(SC)へとWG
11を拡大する提案が出された。その後、2度の投票を経て、2007年にSC 7が設立された。なお、討議対象に関しては再生医療製品に関する事柄全てとする方針があったが、一部メンバーから「再生医療製品の評価」=「生物学的評価」であるため、この件はTC
194で討議すべきとの意見が上がった。名称には「生物学的評価」とあるものの、実際にTC 194で討議されているのは医療機器の「安全性評価」のための生物学的評価であり、再生医療に用いる人工物(scaffold)への適用は可能だが、製品そのものの安全性・有効性評価とは異なっていた。しかしながら、その実状を理解させることは思いのほか難しかったため、折衷案として「生物学的安全性」に係る標準化はTC
194に任せることとし、TC 150/SC 7ではその他の事柄、例えば物理的安全性、用語、有効性評価技術等を対象とすることになった。
2018年の活動状況:
2017年度以降、ISO/TC 276 “Biotechnology”がScopeに細胞治療(Cell therapy)を加えたことから、「細胞」に関連する標準作成が当該TCで活発になっている。米国において設立されたStandard Coordinating Body (SCB)という欧米コンソーシアムも参加者を増やしつつTC 276に関与しているようであるが、その活動実態は未だ明確ではない。裏で戦略的に活動していることが予想されるため、何らかの形でその実態を把握する必要がある。
TC 276が細胞治療をScopeに取り入れたことから、今後TC 150/SC 7が細胞治療に関連する標準を作成するにはTC 276との共同作業が必須となったが、TC 276の細胞輸送方法に関する日本提案について、可能であればTEMPsも対象としたいとの意向が示された。そこで、日本からSC 7に働きかけ、当該提案の対象としてTEMPsも含むことが望ましい旨、TC 276にコメントすることになった。結果として、そのコメントは受け入れられ、現在、細胞治療製品及びTEMPsを対象とする形で標準作成が進んでいる。本件は、日本として戦略的に活動した結果、日本提案が望ましい形で進んだ初の事例となる。
一方、AMEDプロジェクトの一環で、再生医療に用いる細胞の造腫瘍性評価法を標準とするための活動は順調に進んでいる模様である。しかしながら、そのauthorizationに難渋している様子であり、その解決への活動をフォローしているところである。造腫瘍性は細胞の「安全性」に関するものであるため、産官学で歩調を合わせつつこの形で再生医療に用いる細胞の「安全性」標準を押さえていくことが現実的な方策になりつつある。これらの現状を踏まえて、SC 7では再生医療等製品の最終製品の有効性や一般的要求事項に特化した国際標準を作成すべく活動を続けている。2018年度は、TC 150本体と並行してSan Diegoで単独の総会が行われた。
SC 7におけるプロジェクトの現状は以下の通りである。
Last update 2019.03.27
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