TC 210の活動状況について(2020年)
(一部リンクを除き、リンクは新規ウインドウで開きます。2015年活動、2014年活動)
TC 210 “Quality management and corresponding general aspects for medical devices”(ISOのページへ)
1994年設立
議長:. P.W.J. Linders(オランダ)、幹事国(事務局):米国
参加国:日本、米国、ドイツ、英国、フランス、韓国等 (P-member 40ヶ国)
オブザーバー参加国(O-member) 25ヶ国
国内審議団体:(一社)日本医療機器産業連合会
発行文書:30、討議案件:7
討議内容:
医療機器の製造プロセスに係る品質マネジメントとそれに関連した一般的事項に関する標準化を行うTC。ISO 9001のセクター規格(医療機器に対応するよう改訂した子規格)であるISO
13485 「医療機器の品質マネジメントシステム-規制目的のための要求事項」やISO 14971「医療機器のリスクマネジメント」を作成したのがこのTCである。前者は2016年に、後者は2019年に改訂版が発行されたが、これらの改訂は医療機器業界全体に影響を及ぼすもので、規制当局も含めその内容に速やかに対応しなければならない。なお、本邦ではQMS省令が改訂されたが、第2章が改訂前のISO
13485:2012と整合されたのみで、最新版に対応したわけではない。一方、リスクマネジメント文書の改訂は、医療機器の安全性確保全般に関連するため、規制だけでなく他のTCで作成されている標準にも影響を及ぼしている(例えばTC
194)。
<解説>
- ISO 9001
製品の一定以上の品質(顧客が満足できる品質)を継続的に担保するためのマネジメントシステムを構築するにあたって要求される事項を詳細に定めた規格。一般的に、マネジメントシステムの対象となる組織は会社全体。最終製品そのものではなく、それを供給される顧客の満足度を高めるためのシステムが構築されていることを担保することで、結果的に最終製品自体も顧客を満足させることができるという考え方の元、この規格が作成されている。作成はTC 176 "Quality management and quality assuarance"が行っている。
- ISO 13485
医療機器の特性を考慮した場合、9001での要求事項だけでは不十分ということで、安全性、リスクマネジメントや滅菌に関する要求事項等を追加した医療機器製造のための品質マネジメントシステム規格。海外、特に欧州では強制規格となっているため医療機器製造販売業者はこの規格を満たさなければならない。日本では、現在、品目毎にこの規格に準拠したQMS省令の要求事項を製造所(製造業)が満たすことが求められている(完全な国際整合とはなっていない)。しかしながら、薬事法改正に伴い、QMSの対象は製造販売業者、製品群単位となり国際整合が進むようである(QMSとして満たすべき要求事項は現行のISO
13485とほぼ同一になる模様)。なお、これまで都道府県が行ってきた製造業のQMS適合査察は、第三者認証機関が行う予定である(クラス分類の高い機器に関しては、従来通りPMDAが行う)。
米国ではQSR(Quality system regulation) として規制文書が発行されているが、歴史的経緯からISO 13485はQSRの要件を数多く取り入れており、QSRとISO
13485とは同等とされている。
2016年に発行されたISO 13485では、ソフトウェアに関して
- 医療機器の定義に「ソフトウェア」が明記されたことにより、機器内にインストールされているもののみならず、単独ソフトウェアも医療機器として扱われ、QMSの対象になった
- 「製品実現」の項に、ソフトウェアのライフサイクルプロセス(改善・改良により最終的に使用不能になるまで製品寿命を延ばしていくプロセス)に関してはIEC 62304(後述)を参照することと明記された
等の変更が為されている。また、最終製品である医療機器ソフトウェアではないものの、QMSの一般的要求事項の項に、QMSに使用するコンピュータソフトウェアの適用に関するバリデーション要求が明記され、「ソフトウェア」という観点からは非常に大きな改訂となっている。
発行されたタイミングが親規格であるISO 9001の改定後だったため、セクター規格であるにもかかわらず前のISO 9001を参照している形となっており、新しいISO
9001との整合性が取れていない状況となっている。そのため、関連企業にとっては余分な負荷がかかっている可能性があった。
<注>
通常、ISO 13485の認定を取得する企業は、同時に ISO 9001も取得する傾向がある(医療機器の製造プロセスのみならず、企業としてのマネジメントシステムも国際規格に沿うものになっていることを謳うため)。
一時、整合性を取るための作業が走りかかったが、予ねてよりISO Guide文書と定義に齟齬があった「リスク」について、医療機器の考え方に沿った「危害の重篤さに発生確率を乗じたもの」という概念も許容されることになったことに伴い懸念は薄れ、その作業は中断した模様である。代わりにISO
Directivesで規定されている上位規格構造の内容を確認・検討し、その修正提案を持って、さらに齟齬を解消する方向で活動を進めている。
また、医療機器に使用されるソフトウェアのプロセス国際標準であるIEC 62304 (Ed.1) をIEC SC 62AとのJWGで作成したのもこのTCである(IEC
62304の詳細は、IEC SC 62Aの項を参照のこと)。
2020年度の活動状況:
2020年からの活動で特記すべきは、IEC/TC 62と協力してAIを利用した医療機器に関する標準やサイバーセキュリティに関連した標準の作成に向けた動きが本格化し始めたことである。その準備作業として、一旦解散したSoftware and Networks Advisory Group(SNAG)に代わり、Software Network and Artificial Intelligence Advisory Group(SNAIG)が立ち上がり、今後の作業に向けた指針文書の作成が行われている(詳細はIEC TC 62を参照のこと)。
また、医療機器のリスクマネジメントに関するガイダンス文書(ISO/TR 24971:2020)が発行された。
なお、このTCも2020年は対面式の会議は開催されておらず、2021年度は5月にWeb形式で総会が開催される予定となっている。

Last update 2021.03.30
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