国立医薬品食品衛生研究所 医療機器部

各室の紹介

第1室

スタッフ

室長
野村 祐介

[専門]分析化学、RNA工学、構造生物学、分子生物学、医療機器レギュラトリーサイエンス(医療機器及び医用材料の安全性・有効性評価)
[行政支援等]医薬品医療機器総合機構医療機器承認基準等原案検討委員会委員及び専門委員、早稲田大学医療レギュラトリーサイエンス研究所招聘研究員、国立保健医療科学院薬事衛生管理研修副主任、日本バイオマテリアル学会評議員・企画WG委員
[国際規格関連]ISO/TC 194(医療機器の生物学的評価)、国内委員WG1(生物学的評価の原則)、WG8(刺激性、感作性)、WG 12(試料調製と標準材料)、WG 14(材料特性)及びWG19(組織製品安全性)エキスパート

研究員
岡本 悠佑

[専門]分析化学、分子生物学、医療機器レギュラトリーサイエンス(医療機器及び医用材料の安全性・有効性評価)

期間業務職員
長谷川 千恵

[担当業務]医療機器及び医用材料の生物学的、分子生物学的及び微生物学的試験

業務内容

 医療機器・医用材料の生体適合性を規定している諸因子の中で最も重要なものは毒性です。毒性要因には、化学的要因、機械的要因、物理的要因及び生物学的要因があります。化学的要因は腐食、溶解、分解等の変化に基づいて医療機器・医用材料から溶出する有害物質であり、金属から溶出する金属イオン、有機材料から溶出するモノマー、重合開始剤、可塑剤等は種々の毒性を持っています。機械的要因及び物理的要因は、それぞれ表面構造と荷重等であり、生物学的要因は感染の原因となる微生物汚染を意味しています。

 これらの各種要因のうち、医療機器・医用材料の生体適合性に最も大きく影響する因子は溶出物に由来する毒性です。それ故、医療機器・医用材料の化学的評価は、生体と接触する各種製品の安全性を担保するための基本となっています。また、埋植材料を初めとした各種滅菌製品については微生物学的安全性を評価する必要があります。

 近年、医療機器及び医用材料の開発は急速に進展しており、再生医療において利用される足場材料等の新規製品のほか、材料の機能や生体適合性を高めるための表面加工技術が実用化されはじめています。これらの製品の安全性と有効性を評価するためには第一に化学的及び物理化学的分析により材料特性を明らかにすることが求められるため、製品毎に時代のニーズに合致した評価方法を遅滞なく開発していく必要があります。また、ISO 10993-1(医療機器の生物学的安全性評価の基本的考え方)の改訂に伴い、化学分析を併用した生物学的安全性評価手法が国際標準となりつつあります。医療機器・医用材料の規格・基準の作成に関する業務も第一室が担当しています。また、医療機器・医用材料の安全性評価研究から展開した新規材料等の開発研究を実施しています。

 このような背景を踏まえて、第一室では主に以下の業務を行っています。

  1. 医療機器及び医用材料の試験、検査に関する研究
    • 化学的安全性評価に係る試験研究(疑似溶媒組成検証など)
    • 化学分析を併用した生物学的安全性評価手法の開発(TTC、DSTなど)
    • 生物学的安全性試験動物実験代替法の開発と標準化等に関する研究(感作性、発熱性など)
    • 医療機器開発・審査の迅速化に資する新規安全性評価手法の開発・標準化に係る研究 
    • プロテオミクス解析等による生体適合性評価法の開発に関する研究
    • 再製造単回使用医療機器の評価
    • 医療機器買い上げ試験
  2. 医療機器及び医用材料の規格及び基準に関する研究
    • 認証基準の改定や指定高度管理医療機器認証基準の作成等
    • 次世代型医療機器の開発及び承認審査を迅速化するための評価指標・ガイドライン作成
    • ISO/TC 194等における国際規格の作成
    • 再製造単回使用医療機器基準策定等
  3. 医療機器及び医用材料の試験的製造及びこれらに関する研究
    • 脱細胞化組織を利用した医療機器の品質及び安全性評価法の開発に関する研究
    • 生物学的安全性試験用標準材料の開発と標準化等に関する研究
    • 生体高分子等を利用した新規機能性医用材料の創製に関する研究