TC 150の活動状況について(2020年)
(各リンクは新規ウインドウで開きます。2019年 、2018年 、2017年 、2016年 、2015年の活動状況はそれぞれの年をクリックしてください。)
TC 150 “Implants for surgery”(ISOのページへ)
1971年設立
議長:Mr. Hany Damian (米国FDA)、幹事国(事務局):ドイツ(ドイツ標準局)
参加国:日本、米国、ドイツ、英国、フランス、韓国等 (P-member 30ヶ国)
オブザーバー参加国(O-member) 16ヶ国
発行IS:166(うち14件が直下のWGで発行)、討議案件:37(内6件が直下のWGで討議中)
国内審議団体:
討議内容:
その名の通り、外科用インプラントに関連する国際標準を作成するTC。具体的には材料規格、人工心臓、人工関節等の品質・評価に関する国際標準を討議中。これまでに156の国際標準を作成している。現存するWGは7つ(2つ新設)、SCは6つである。詳細はリンク先のISOホームページを参照していただきたいが、以下にTC 150に現存するSC及びWGを示す。なお、討議案件については各々の「討議案件」からリンクを貼ってあるので、興味のある方は確認いただきたい。
WG:発行IS総数:14、討議案件総数:6
- JWG 1 “Additive manufacturing in surgical implant applications”(TC 261とのjoint WG: TC 150がリードするJWGとして2020年に新設。Convenorは日本人)
- WG 7 “Fundamental standards”
- WG 8 “Breast implants”
- WG 10 “Use of retrieval of surgical implants”
- WG 12 “Implant coating”
- WG 13 “Absorbable metal implants”(活動終了により休眠)
- WG 14 “Models of tissues for mechanical testing of implants”(Convenorは日本人)
- WG 15 “Neurosurgical implants”(解散したSC 3の後継WG)
- WG 15 “Neurosurgical implants”
- WG 16 “Antimicrobial properties of implants”(2020年に新設)
SC:
- SC 1 “Materials” 議長:Dr. Andy McCabe(英国)幹事国:ドイツ、発行IS:38、討議案件:4
- WG 3 “Ceramics” (Convenorは日本人)
- WG 4 “Metals”
- WG 5 “Plastics”
- SC 2 “Cardiovascular implants and extracorporeal systems” 議長:Dr, Jeffrey
S Borer(米国) 幹事国:発行IS:32、討議案件:11
- WG 1 “Cardiac valves”
- WG 3 “Vascular prostheses”
- WG 4 “Blood gas exchangers”
- WG 5 “Renal replacement, detoxification and apheresis”
- WG 6 “Vascular device/drug combination products”
- WG 7 “Cardiovascular absorbable implants”
- WG 8 “Cardiac occluders”(新設)
- SC 4 “Bone and joint replacements” 議長:Dr Mazen Al-Hajjar(英国)、幹事国(英国)、発行IS:36、討議案件:5
- WG 1 “Mechanical testing”
- WG 3 “Wear”
- WG 4 “General requirements”
- SC 5 “Osteosynthesis and spinal devices” 議長:Mr Ryan L. Siskey(米国)、幹事国:米国、発行IS:26、討議案件:8
- WG 1 “Osteosynthesis devices”
- WG 2 “Spinal devices”
- SC 6 “Active implants” 議長:Dr Kok-Swang Tan、幹事国:米国、発行IS:16、討議案件:2
- JWG 1 “Joint ISO/TC 150/SC 6 - IEC/SC 62D WG: Cardiac pacemakers and implantable defibrillators”
- JWG 2 “JWG between ISO/TC 150/SC 6 and IEC/SC62B: Effects of magnetic resonance imaging on active implantable medical devices”
- WG 3 “Cochlear implants”
- WG 4 “Implantable infusion pumps”
- WG 5 “Implantable neurostimulators”
- WG 6 “Circulatory support devices”
- SC 7 “Tissue-engineered medical devices” 発行IS:4、討議案件:1(詳細は別ページを参照のこと)
- WG 1 “Management of risk”
- WG 3 “Tissue-engineered medical products for skeletal tissues”
材料規格や人工関節の試験法等の標準化のいくつかが我が国主導で行われており、パーソナライズド人工関節や試験用模擬骨に関する標準化も日本主導で行われている。これらの提案には、現在、急速な発展を遂げている三次元積層造形技術、いわゆる3Dプリンターによる作製技術も絡んでおり、2015年のベルリン総会から三次元積層造形の標準化を行っているTC 261 “Additive manufacturing”とLiaison関係を構築している。その結果、2020年にはJWGがTC 150主導で立ち上げられ、今後、積層造形技術を利用したインプラントに関する標準は当該JWGが担当することになった。
2020年の状況:
COVID-19の蔓延に伴い、中国で開催予定だった総会は3月に場所をチェコに変更した後、最終的にキャンセルされた。そのため、討議が必要な案件を有するWG、SCにおいてはWeb会議システムを利用した会議が実施された。また、討議案件の重複を防ぐとともに活動を活発化させるためのタスクフォースは、例年通り、Web会議ベースで開催され、引き続きその目的を達成するための討議が行われている。
2020年の特記事項としては、兼ねてから討議されていたTC 261「積層造形」とのJoint WGが設立されたこと、当初とは異なりTC 150主導のWGとなり、ConvenorとしてLiaisonを務めていた大阪大学の村瀬教授が就任したことである。今後、積層造形により製造されたインプラントのみならず、医療機器の力学特性等に関する評価技術標準はこのJWGで作成されることになる。また、抗菌性を有するインプラントの評価方法を標準化するためのWGも設立された。このWGで取り扱う文書は日本が提案したものであり、そのためProject
Leaderには提案者が就任することとなった。このように、TC 150においては日本の存在感が増大している。
ASTMとの規格重複については、議長らからなるタスクフォースである程度のルールが作成され、今回初めて運用された。各SC会議でその状況についての報告がなされたが、ASTMと非常に多くの重複があることが判明した。今後、その重複解決が機能するか、注視する必要がある。なお、2021年の総会は10月中旬から11月の間、複数日でWeb形式での開催となることが提案されている。

Last update 2021.03.30
Copyright(C) 医療機器部